第815章

目下、坂田和也を解任するならこれ以上ない好機だ。ここで代わりを立てられなければ、あいつが一人勝ちする。そうなったら、こっちの株主連中に逃げ道なんてあるのか――。

「来ないのか?」

そのとき、坂田和也の声が響いた。ゆったりとした口調、薄い笑みまで滲ませて。

まるで最初からこうなると読んでいたみたいに。

木下常務は一瞥し、険しい顔で言った。

「坂田夫人は先代会長への情が深い。先代会長はご病床だ、付き添いで手が離せないのだろう。となれば、我々は別の適任者を探すしかない」

視線が円卓を一周したところで、ある株主がふいに声を上げた。

「経歴も能力も見れば、坂田グループで社長を務められるの...

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