第817章

小林絵里はそう思うと、はっきり口にした。

「私と彼のことが理由なら、これ以上は言わないでください。自分のことは、自分で片をつけます」

藤原景丞は沈黙した。

――やっぱり、その件で連絡してきたんだ。

坂田和也の暴力沙汰は今や大騒ぎになっている。彼としては、もう一度小林絵里を説得するつもりだったのだろう。

けれど彼女の突き放すような声を聞いた瞬間、胸の奥を薄く撫でるような、言いようのない不快感が走った。

少し、苦しい。

理由は自分でもわからない。

小林絵里は彼の沈黙に気づき、淡々と言った。

「ほかに用がないなら、切りますね。仕事中なので」

藤原景丞は低く返す。

「……ああ。...

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