第818章

楓の苑。

 小林絵里がエレベーターに乗り込むと、スマホがピコンと鳴った。松本桜からのメッセージで、今夜ご飯に行こうという誘いだった。

 今日は一日、心身ともにへとへとだ。外に出る気力もないし、帰って自炊する気分でもない。絵里はどこで食べるのかだけ尋ねた。

 するとすぐ、松本桜から電話がかかってくる。

「焼肉、どう? 最近さ、運動しすぎて痩せちゃった気がするんだよね。ちゃんと補給しなきゃ」

 桜が言う。

「何したのよ。運動量が多いって」

「えへへ」桜が笑って、さらっと続けた。「ベッドの上の運動」

「……」

 聞かなかったことにする。

「どこで食べるの? 場所送って」

「り...

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