第826章

「ちょっと私用を片づけてきたの」

 そう言って、庄司玉輝が中へ入ってきた。にこにこと須藤星皓をひと目見てから、小林絵里に向けてぱちりとウインクする。

「わたしのこと、恋しくなかった?」

 小林絵里はそのノリに耐えきれず、伸びてきた手を押しのけた。

「ちょうど確認してほしい書類が山ほどあるの。さっさと仕事に戻って。うちのスタジオの進行、止めないで」

 庄司玉輝「……」

 仕事の鬼かよ!

 こんなに早く戻ってくるんじゃなかった——と内心で叫びつつも、自分がやってきたことは詳しく言えない。もし小林絵里に知られて、怒らせでもしたらどうする。

 せっかく、ボスと小林絵里の空気が少しずつ...

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