第832章

  坂田和也が車のドアを開け、「一緒に行くか?」と言った。

  小林絵里はうなずき、そのまま乗り込む。

  胸の奥に、理由のわからない不安がふっと浮かんだ。日野安月が行方不明のままでは、ネット上の空気を完全にひっくり返すことはできない。放っておけば、坂田グループへのダメージは計り知れないだろう。

  相手は、どんな結末を見たがっている?

  坂田和也が坂田グループを追われることか。

  それだけじゃない――そんな気がした。

  ほどなく病院に到着する。いつもと違い、周辺には見物人がやけに多かった。

  彼らは時折、院内を覗き込んではひそひそと指をさしている。

  坂田和也と小...

ログインして続きを読む