第840章

古川修一はその言葉に、表情を強張らせた。

「……彼女を捜してどうする」

坂田和也が低い声で言う。「あいつは何も知らないほうがいい。でないと――」

古川修一の口調も一気に硬くなる。「和也、たとえ彼女が何か知ってたとしても、手を出すな。小林絵里が許すかどうか以前に、俺が許さない」

坂田和也は目を閉じ、短く言い捨てた。「連れて来い――」

そう言うなり、通話はぷつりと切れた。

残された希望はただ一つ。松本桜が、絵里がどこへ行き、何をしたのかを知っていること。

それがなければ――俺は自分が何をしでかすのか、分からない。

……

松本桜は勤務中だった。古川修一からの電話を取ると、肩と耳で...

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