第846章

「お前……何をした!?」

 木下常務はその言葉を聞いた瞬間、声色が一気に上ずった。

 坂田和也は口元だけで笑う。だが目だけは獣じみた陰を宿し、冷えきった声で言い放った。

「誰がてめえに連絡した。日野安月は今どこにいる。全部吐け。一つでも隠したら、てめえの息子の指が一本消える。疑うな。俺は何でもやる」

 言い終えるより先に、坂田和也は通話を切った。

「……悪魔め!」

 木下常務は切れた画面をにらみつけ、怒りに任せて携帯を床へ叩きつける。バキン、と嫌な音。胸が大きく上下し、顔色は真っ青だった。

 脇にいた秘書が恐る恐る声をかける。

「木下常務……これから、どうなさいますか」

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