第847章

日野安月は無事に救出され、関わった人間は全員、松本幸雄が連れ戻した。

その頃――。

とある人里離れた団地の一室。

電話を受け、ソファに腰を沈めた男は口元だけを歪めた。

「見つかったならそれでいい。どうせ大事な人間でもない」

「では、この先は?」

男は一拍置いて言う。

「先に小林絵里を見つけろ」

「承知しました」

通話が切れると、部屋はしんと静まり返った。

……

小林絵里は、すでに部屋の造りをおおよそ把握していた。ワンフロアのスイートのような間取りで、小さなリビングがあり、寝室はやけに広い。普通の家ではない。平屋造りの邸宅か、それに類する場所だろう。

こんな所に住めるの...

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