第864章

坂田和也は松本桜をまるで相手にせず、リビングをぐるりと何周かしても目当ての姿が見当たらないと、そのまま寝室へ向かった。

「ちょっと、待ちなさい!」

松本桜がすぐさま駆け寄り、両腕を広げて行く手を塞ぐ。

「何するつもり?」

坂田和也は目を血走らせたまま彼女を睨みつける。

「どけ」

全身から冷え切った殺気と、言葉にしがたい圧が渦巻く。松本桜は一瞬怯みかけたが、それでも食い下がった。

「どかない。いきなり押しかけてきて、何なの?」

苛立ちが一気にせり上がる。ここまで必死に探してきた小林絵里が、この家にいるからこそ桜は止めるのだろう。

どうして会わせない。

自分がずっと絵里を探し...

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