第878章

彼らの様子を見ていると、小林絵里の胸の奥がじんわり温かくなった。たぶん、これが家族がいるっていう感覚なんだろう。

――好きだな、こういうの。

けれど、真夜中にふっと目が覚めるたび、決まって坂田和也のことが頭をよぎる。

何も言わずにいなくなったこと。あの嘘。そして、あれからずっと途絶えたままの音沙汰……

結局、あの人は何がしたかったんだろう。

気配ひとつ残さず去って、いまも何の連絡もない。

あのとき言っていたことは、全部――なかったことになったの?

……。

年の瀬まで、あと三日。

松本桜がキャリーケースを引きずって、文字どおり乗り込んできた。

玄関を入るなり、ぷりぷり怒った...

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