第88章

その場に、ふいに気まずい空気が張り詰めた。

 坂田和也は冷ややかに言い放った。

「そっちがこれだけ条件を出したんだ。次は俺の番だろう」

 小林絵里はわずかに目を丸くした。

「嘘でしょ? わたしの命を狙うだけじゃ飽き足らず、条件まで突きつけてくるんですか? いくらなんでも図々しすぎませんか」

「……」

 坂田和也は今すぐ彼女の首を絞めてやりたい衝動に駆られた。

「今後、高川寒彦には近づくな」

「無理です」

「あ?」

 坂田和也は不機嫌そうに目を細めた。

「彼はわたしの命の恩人です。彼がいなかったら、わたしはとっくに死んでいました。だから、距離を置くなんてできません。いつか...

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