第883章

 彼の瞳を見つめたまま、松本桜はしばし言葉を失った。

 縁を切る?

 そんなこと、できるはずがない。

 古川家はY市での人脈が入り組みすぎている。ちょっとした集まりに顔を出すだけでも、ばったり会ってしまう可能性だってあるのだ。

 だから唯一の手段は、距離を取って、淡く流すこと。

 それに、松本桜と古川修一が、こんなことで泥沼の喧嘩になるとも思えない。

「じゃあ、そういうことで決まりね。今後あの子がまたあなたに連絡してきたら、すぐにわたしに教えて」

 松本桜はこれ以上この件に絡む気はないらしく、きっぱり言った。

 古川修一は唇の端をつり上げる。

「もちろん」

 彼は彼女の隣...

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