第893章

「絵里、あっち見て!」

そのとき、松本桜の声が飛んできた。

小林絵里が振り向くと、少し離れたところから斉藤子玄がゆっくり歩いてくるのが見えた。

絵里はますます驚き、立ち上がって近づく。

「子玄、あなたも来たの?」

斉藤子玄はふっと笑みを浮かべた。

「坂田社長から招待が来たんだ。『しばらく会ってないし、君はいろいろあったはずだから、きっと俺に会いたいだろう』って。だから来た」

小林絵里は、古川修一と話している坂田和也にちらりと目をやり、胸の奥がじんわり温かくなる。

そして斉藤子玄を見て、柔らかく言った。

「うん、会いたかった。ほんと、久しぶりだね。最近どう?」

斉藤子玄はう...

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