第897章

藤原家。

藤原天男は配信画面に映るプロポーズ成功の瞬間を見つめ、ふと顔を上げた。写真の中で、やわらかく微笑む女性。

「琴実、見えてるか。娘が結婚したぞ。俺たちの娘が……ううっ……やっと見つけたと思ったら、もう結婚だ……ううっ……俺はお前に申し訳ない……うううう……」

少し離れたところに控えていた執事が、たまらず額に手を当てて、深いため息をついた。

まるで帰ってこないみたいな言い方だ。

……

時間も遅くなり、一同は帰路についた。

松本桜はずっと小林絵里の腕にしがみつき、涙目のまま訴える。

「絵里、なんであんなに簡単にOKしちゃったの? それじゃ、あの人の得すぎるよ」

小林絵里...

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