第907章

その夜。

須藤星皓は借りている部屋へ戻り、図面をもう一度確認しようとした。だが、スマホの着信音が鳴り響く。

画面を見ると、保坂初鹿からの電話だった。

「もしもし、保坂さん。どうしました?」

受話口の向こうの声は、どこかとろけていた。

「す……須藤。迎えに来て……帰れないの……うぅ……家に帰れない……」

声の調子だけで、酒が入っているのは明らかだった。

須藤星皓は眉を寄せる。

「保坂さん、いまどこにいます?」

保坂初鹿はふにゃふにゃと、あるバーの名前を口にした。須藤星皓は深く考えず、そのまま迎えに向かう。

店内は喧騒でむせ返るほどだった。人の波を縫って進み、ようやく奥のボッ...

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