第937章

「もしもし?」

庄司玉輝が電話に出ると、向こうから小川甘乃の声が飛び込んできた。

「その声、寝起きっぽくない? ねえ、遊びに行かない?」

庄司玉輝は部屋を出て、きれいに片付いたキッチンを眺める。気分がさらに晴れて、尋ねた。

「どこ行くの?」

「兄の友だちがワイナリー開いたの。ぶどう狩りがね、没入型体験なんだって。来る?」

庄司玉輝は思わず笑ってしまう。

「ぶどう狩りで没入型ってなにそれ。摘んだぶどう、そのままワインにできるの?」

「その気があるなら、たぶんできると思う」

「いいじゃん」

庄司玉輝は少し考えた。どうせ家にいても暇だ。なら、とその場で頷く。

「じゃあ決まりね...

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