第954章

古川修一はその言葉を聞くや、瞳の色がさらに危うく沈んだ。低く、幽かな声音で言う。

「……子どもがほしいのか?」

松本桜はぱちぱちと大きな目を瞬かせる。

「え? 修一はほしくないの? 絵里なんて一気に二人産んだんだよ? あんなにすごいんだから、うちも一人くらい譲ってもらってもいいでしょ?」

その瞬間、腰がぎゅっと締めつけられた。

「ひゃっ……!」

桜は反射的に背筋をぴんと伸ばす。

「修一、なにするの?」

古川修一の大きな手が、彼女のくびれを掴んで離さない。口元には笑っているようで笑っていない、薄い表情。

「なんで他人の子どもなんだ。俺たちが自分で作ればいいだろ」

松本桜は遅...

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