第962章

文字はぐにゃぐにゃだったが、とにかく成功は成功だ。

古川修一はパンをテーブルに置き、藤原景治をちらりと見た。相変わらず感情の起伏が読み取れない。なら、深追いはしない。

いまの彼にはやることがある。

花束を抱え、新婦を迎えに行くのだ。

古川修一は意気揚々と寝室のドアを押し開け――そこで、小林絵里と鉢合わせた。大きくせり出したお腹。手には花嫁の靴。どう見ても、通せんぼの構えである。

小林絵里はぱちりと瞬きをし、柔らかく整った顔に笑みを浮かべる。すっと手を差し出し、

「ご祝儀ちょうだい。そしたら通してあげる」

古川修一は即座に踵を返し、付き添いの男から厚い赤い封筒を二つ受け取ると、そ...

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