第97章

グループのビルを出た小林絵里は、坂田和也が追ってこないのを確認して、ふうっと安堵の息を漏らした。

あのくそ野郎が、また何か狂った真似をするのではないかと本当に恐ろしかったのだ。

地下鉄の駅へと向かって歩き出す。グループのビルから『楓の苑』へ帰るには、地下鉄を利用するのが一番便利だ。終点で降りればすぐなのだから。

だが、角を曲がった直後、視界の端に、後ろからついてくる見覚えのある人影を捉えた。

思わず足をとめ、振り返って確認する。一目見てすぐにわかった。昨夜自分を助けてくれて、今朝になってなぜか突然謝罪してきた、あの男だ。

なぜ、わたしの職場を知っているのだろう?

どうして、後をつ...

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