チャプター 20

サマー視点

「痛かったら言って」私はささやいた。

「大丈夫だ」

言い返したかった。そんなふうに自分の痛みを軽く扱っていいはずがない、もっと大切にされるべきだと、そう言い聞かせたかった。でも、言葉は喉の奥につかえて出てこなかった。だから私は黙ったまま手を動かした。傷を慎重に消毒し、薬剤師に教わったとおり薄く軟膏を塗り広げ、ガーゼをほどいて巻いていく。作業に意識を集中するほど、震えていた手は少しずつ落ち着いていった。

指先に触れる彼の肌は温かかった。なめらかで傷ひとつない部分と、ごつごつとした古い傷痕との落差が、胸を鈍く締めつける。うっかりその古い傷のひとつに触れたとき、彼の肩がほんのわず...

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