第6章

 サイモンの胸元――擦り切れたスーツの下で、淡い蒼の電流がちらついた。無理やり胸腔に押し込まれた機械の心臓、その歯車が崩れはじめている。

「ぐっ……」

 胸を裂くような痛みと、鼻腔を塞がれる窒息感を堪え、サイモンは必死にこちらへ駆けてきた。

「王妃を守れ!」

 正気を失った男を見た狼人大公近衛が、容赦なく一蹴りで床に叩きつける。死んだ犬でも引きずるみたいに襟元を掴み、階段の手前へ放り出した。

「ゼラ……」

 サイモンは顔を上げた。眼窩には血走った赤が網のように広がり、涙と口元の血が混じって、赤絨毯へぽたぽたと落ちる。

「……見つけた……」

 瀕死の狼犬みたいに、彼は私の見慣れ...

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