第7章

「わ、私は……」颯花の声は震えていたが、必死に平静を装おうとしていた。「何を言っているのか分かりません。ただ……通りかかっただけで……」

「通りかかった、だと?」俊明が笑う。「こんな何もない倉庫街をか? お嬢ちゃんの作り話は、そのファッションと同じだな――金はかかってるが、中身はからっぽだ」

大悟の懐中電灯の光が蓮司の上を走り、その「設え」を捉えると、彼は口笛を吹いた。

「へえへえ、検事補先生は変わった趣味してんな」と彼は嘲笑う。「昼は法廷で正義の味方、夜は緊縛マニアってか?」

誠一が蓮司に歩み寄り、懐中電灯の光を顔に浴びせる。蓮司は目を細め、くすくす笑った。「誰……あんた...

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