第108章 目を赤くして去った

白川凰姫の身体が、目に見えてこわばった。

涙を拭う手が一瞬止まり、鼻にかかった声で、曖昧に話題を逸らす。

「この件は私が招いたことです。責任は取ります」

芳丸巡哉の眼差しが、すっと沈んだ。

またそれか。白川家の話になると、彼女は殻に閉じこもったハリネズミみたいに、誰も寄せつけなくなる。――俺のことさえも。

胸の奥の苛立ちを押し殺し、巡哉は鼻で笑った。嘲りを隠しもしない声。

「城南の土地、前後の損失を合わせたら20億は超える。どう責任を取るつもりだ」

20億。

その数字が山みたいにのしかかり、白川凰姫はぴたりと涙を止めた。

大きな損になるのは分かっていた。けれど、ここまで天文...

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