第111章 これが権力の味なのか

言葉の棘が、やけに密で、やけに鋭い。

太田萌は火薬の匂いを嗅ぎ取って、慌てて場を丸めた。

「ちょ、灯彩、言い方! 誕生日なんだから一番大事なのは楽しいことだよ! 汐、気にしない気にしない。ほら、鍋食べに行こ!」

松本灯彩は冷めた目で安藤汐を一瞥する。

「今の人は“最上階に出入りできるお方”だもんね。目に映る景色が違うんでしょ? だったら身分に釣り合う場所に連れてってよ。私たち凡人、目を見開かせてもらわないと」

安藤汐は指をきゅっと握りしめた。

実際、今日の会社で彼女は恥をかき尽くした。道化みたいに笑われて——その屈辱が、灯彩の刺激で発酵し、背水の狠さに変わっていく。

どうして私...

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