第114章 苦あれば楽あり

明らかにサイズの合っていない古いワンピース。短く切りそろえられた髪。痩せ細った身体。

けれど、その瞳だけが――黒く、大きく、子どもらしからぬほど静かだった。そこに宿っているのは、冷たさと、他人を寄せつけない距離。

芳丸巡哉の心臓が、何かに強く打ちつけられたみたいに跳ねた。

写真の下には、万年筆で書かれた小さな文字が一列。子どもたちの名前が記されている。

視線がゆっくりと下へ滑り、隅に写る少女の欄で止まった。

その名前が、くっきりと目に入る。

白川凰姫。

――そうか。彼女が白川姓なのは、白川家の娘だからじゃない。

白川家の養女になる前から、すでにその名で呼ばれていたのだ。

芳...

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