第115章 慎重な手厚い保護

上限なんて、ないのか。

「芳丸社長……こちら、取締役会の決裁が必要でしょうか」男が恐る恐る尋ねた。

「俺の個人口座で落とせ」

芳丸巡哉は通話を切り、スマホをポケットへ戻すと、長い脚で路地の出口へ向かった。

車のドアを開け、乗り込む。

白川凰姫は窓にもたれ、外を見ていた。横顔の輪郭が張りつめている。

彼女は、さっき何をしていたのかを訊かなかった。

車は滑らかに走り出し、古びた路地を離れていく。

白川凰姫の目尻には、隠しきれない赤みが滲んでいた。取り繕うことすら、どこか力が入らない。

芳丸巡哉はスマホを取り、坂東補佐へかけ直す。

「今夜の会議、キャンセルだ」

受話口の向こう...

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