第123章 公開の戴冠式

彼は片手を上げ、机の上の企画書を指で示した。

「これ。10部コピーしておけ。明日の10時、会議室に関係部署の責任者を全員揃えろ。お前は議事録担当だ」

安藤汐は一瞬、言葉を失った。――恥ずかしい。

芳丸巡哉は、自分を馬鹿にしている。

「……はい、芳丸社長」

彼女はほとんど逃げるように、執務室を出た。

扉が閉まり、外の気配も音も、すべて遮断される。

芳丸巡哉は身体を後ろへ預け、幅広い革張りの椅子にもたれた。影の中へ沈み込むように。

彼はもう一度、あの追伸の紙を手に取る。

「反逆ってのは、それ自体がこの時代でいちばん高い贅沢品だ」

低く読み上げると、その瞳には惜しみない賞賛が宿...

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