第126章 名門の置物

小春は怒りで地団駄を踏んだ。

「絶対わざとだよ! わざとあんたと同じ服を着て、わざとあのクソ看板の下に立ってた! 看板が落ちたのだって、あいつの仕込みかもしれない! わざとケガして、芳丸社長に『かわいそうな私』って見せる苦肉の策! 最低、恥知らず!」

白川凰姫は何も言わなかった。

スタッフが来場者を緊急誘導し、広報チームは記者対応でてんてこ舞い。小春だけがずっと白川凰姫の前に立ち、盾みたいに守っている。

彼女は見た。

芳丸巡哉が飛び込んだ瞬間、迷いが一欠片もなかったことを。

――あんなふうに、必死になるほど。

彼は、あの女を。

会場上階のホテル客室。

芳丸巡哉は上半身...

ログインして続きを読む