第128章 彼女はやはり行きたかった

白川凰姫が彼の傷に包帯を巻き始めたとき、芳丸巡哉はとうとう堪えきれなくなった。彼女が身をかがめて近づいた、その瞬間――ぐっと手首を掴む。

細い手首だった。指を回すだけで、簡単に囲えてしまうほどに。

白川凰姫の手が止まる。彼女は目を上げ、彼を見た。

巡哉の顎のラインが、張り詰めている。

「……聞きたいこと、ないのか」

掠れた声。薄暗い光の向こうから、その視線だけが彼女を逃がさない。

「何を?」

白川凰姫の声は落ち着いていた。

「あなたの怪我なら、医者がもう説明した。会社のことなら、広報も片がついた」

巡哉の指に、知らず力がこもる。背中の傷が引きつれ、鋭い痛みが走った。だが気に...

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