第130章 ふわふわした気分

安藤汐は覚えている。先週、うっかりCiciのコーヒーをこぼしてしまったとき、彼女は皆の前で容赦なく言い放ったのだ――「カーペット、ちゃんと拭いといて」

「ありがとうございます……」安藤汐は、思わず身がすくむほど恐縮した。

「何がよ!」

Ciciはひらひらと手を振り、声を落として、秘密話でもするみたいに身を寄せてくる。

「ねえ、昨日さ、新谷家のお嬢さまが会社に来たって聞いたんだけど? また芳丸社長に会いに来たの?」

安藤汐が返事を探すより早く、隣の同僚が淹れたての花茶を差し出した。

「安藤さん、これ飲んでみて。ニュージーランドの輸入品。美容にいいんだって」

「安藤さん、ハンドクリ...

ログインして続きを読む