第137章 盗撮なんてつまらないだろう

白川凰姫は彼女にぐいぐい引っ張られ、思わず苦笑いしつつも、抵抗はしなかった。

加賀篠はその横をついてきて、口元に笑みを浮かべたまま、完全に見物人の顔だ。

ホールにいる男性スタッフたちは、こういう場の「作法」をよく心得ているらしい。背筋の伸びた立ち姿、整った顔立ち。揃いの黒いスーツに身を包み、客の間を滑るように行き来する。カクテルを作る者、案内する者、あるいは静かに壁際に控える者。どの仕草にも、鍛えられた色気が滲んでいた。

すでに何人もの女性客が動き出している。くすくすと甘い笑い声を立てながら、手にした小さな赤い花を「推し」の胸元へぺたり。すると周囲から、善意の冷やかしがわっと湧いた。

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