第149章 彼女はただの殺人犯だ

頬が焼けつくように痛い。耳の奥では、ぶうん……と低い耳鳴りが続いていた。

白川凰姫はゆっくりと振り返る。そこにいたのは、息を荒げ、顔を歪ませた温水鈴花。

その視線に、怒りも、悔しさもない。

あるのは、ただの死んだ静けさ。

殴られたのは顔ではなく、感覚のない陶器――そんなふうに見えた。

割れたなら、それで終わり。そう言わんばかりに。

そのときだった。

黒いスーツを着た長身の男が二人、部屋の隅から一気に飛び出してくる。動きは速すぎて目で追えない。左右から白川昭修と温水鈴花をがっちりと押さえ込んだ。

温水鈴花の罵声が、ぷつりと途切れる。まるで口を塞がれたみたいに。

「お前ら、何す...

ログインして続きを読む