第21章 簡単なこと

芳丸巡哉はタブレットに映っていたくだらない記事をすべて閉じると、立ち上がって酒棚へ向かい、自分のためにウイスキーを一杯注いだ。

白川凰姫が相良沢弥と昔の情をぶり返すなど、彼は最初から案じていない。気がかりなのは、闇に潜んでうごめく連中が、彼女に害を及ぼすことだけだった。

相良沢弥など――

芳丸巡哉はグラスの中の琥珀色をゆらりと揺らす。氷が触れ合い、澄んだ音をちり、と立てた。

自分のものに手を伸ばそうとする、薄汚い鼠にすぎない。

翌朝。陽射しは明るく、やわらかかった。

白川凰姫のアトリエでは、川瀬清子がひどい隈を目の下にぶら下げながらも、手にはスマホを握りしめ、興奮で頬を赤くしてい...

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