第26章 誤解

芳丸巡哉はネクタイをほどくと、そのまま隣の一人掛けソファへ放り投げた。背もたれに身体を預け、張りつめていた空気がわずかに緩む。

「芳丸グループは、ハイジュエリーのオートクチュール市場を開拓するつもりだ。今回の件は、宣伝として悪くない」

彼は彼女を見た。声は低く、淡々としている。そこに余計な感情は混じらない。

「それに――俺、芳丸巡哉の奥さんだ。コンテストの「主戦場」を、他人に勝手に決めさせるつもりはない」

筋は通っている。公私を両立させ、理屈としては完璧だった。

芳丸グループが手がける海外の宝飾ブランド『エリシアン』は、もともと超高級路線で名を上げてきた。国内市場に本格参入するには...

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