第28章 盗作

芳丸巡哉は身じろぎひとつしない。彼女へ視線すら向けず、グラスに残った酒を一息にあおった。

喉を裂くような辛さが、胃の底までじりじりと燃え広がる。だが胸の内にくすぶる火だけは、どうしても消えてくれない。

江口梓月は反応がないのを見ると、さらに身を寄せた。声色に、わざとらしいほどの労わりを混ぜる。

「初恋同士って、きっと忘れられないものですよね。でも……まさか、彼女があなたと結婚しているのに、まだ……」

言い切らなくても十分だった。

「まだ別の男を想っている」――その含みは、空気にべったりと貼りつく。

芳丸巡哉が、ようやく動いた。

ゆっくりと顔を上げる。

いつも沈みきった深い瞳は...

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