第35章 妊娠したのか、あいつは知っているのか?

電話の向こうで坂東補佐が一瞬だけ言葉を失い、それでもすぐに応じた。

「かしこまりました、芳丸社長」

江口梓月は完全に呆然としていた。芳丸巡哉が、ここまで情け容赦なく切り捨てるとは思ってもいなかったのだ。

涙をこぼしながら駆け寄り、彼の腕に縋ろうとする。

「芳丸社長! 私が悪かったんです! もう二度としません! だから、こんな……!」

だが芳丸巡哉は身をひるがえしてそれを避けた。向けられた眼差しは、まるで塵でも見るみたいに冷えきっている。

ほどなくして二人のボディーガードが駆け込んできた。左右から江口梓月の腕を掴み、悲鳴も泣き叫ぶ声も意に介さず、そのまま力ずくで部屋の外へ引きずって...

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