第36章 白川逸也は私の弟じゃない。

白川凰姫は受付票を握りしめ、ひんやりした待合の長椅子に座っていた。掌は冷や汗でぐっしょりだ。

周囲を人が行き交う。笑う人、泣く人。ここには人生が、むき出しのまま並んでいる。

名前を呼ばれた瞬間、彼女は診察室へ足を踏み入れた。心臓が喉から飛び出しそうで、呼吸の仕方すら忘れる。

医師は五十歳前後の女医――主任と名札にある。穏やかな顔立ちで、検査結果に目を落とし、いくつか質問を重ねたあと、眉間にしわが寄っていった。

「白川さん。あなたの身体の状態、かなり良くありません」

眼鏡を指で押し上げ、声を落として続ける。

「長期の栄養不足で、貧血も強い。そこへ今回の高熱で、体力の底が抜けています...

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