第49章 彼女の婚姻は無駄ではない

坂東補佐も、よほど思い悩んだ末にこの電話をかけてきたのだろう。

芳丸巡哉は、いったん家に戻ってしまうと、仕事であろうが私事であろうが、基本的に邪魔されるのを嫌う。

新谷知代が倒れた――この一件は、大事でもなければ小事でもない。

本来なら安静にしていれば済む話だ。だが彼女は新谷家の令嬢で、しかも白川凰姫のせいで倒れた、という形になっている。芳丸家が軽く扱えば、面倒は一段上の「体裁」の問題へと化ける。

白川凰姫は寝室の扉口に立ったまま、かすかに会話の断片を拾った。

巡哉の眉間が、電話を取った瞬間にぎゅっと寄る。

低い声が落ちる。

「今から行く」

「先に寝てろ。待つな」

そう言い...

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