第69章 未来のために準備する

「決まったら、私が腕を振るってご飯を作ってあげる」

白川凰姫の唇が、ようやく心からの笑みをかたちづくった。ここ数日の重たい曇りが、その電話一本でふっと晴れていく。

それを聞いた川瀬清子は、声色が露骨に変わる。

「やめて。だったら私、カップ麺かじってるほうがマシ」

芳丸巡哉が何から何まで面倒を見ていたせいで、白川凰姫は台所に立つ機会がほとんどない。川瀬清子は「幸運にも」彼女の料理を口にしたことがあるが――毒を盛られるのと大差なかった。

翌日の夜。

クラウド レストランは都心の摩天楼、その最上階にあった。窓の向こうには半分の街の夜景が宝石みたいに広がり、瞬きながら眼下へ流れていく。

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