第72章 容赦ない言葉

イタリア貴族は数秒、沈黙した。やがて――その顔に、心からの誠実さと称賛を湛えた笑みが浮かぶ。

「素晴らしい!」

声には惜しみない賛辞が満ちていた。

「白川嬢。期待を裏切らない。優れたデザイナーとは、そういう矜持と気骨を持つものだ」

彼は、顔色を青くしたり白くしたりしている江口梓月へと向き直る。微笑みは最後まで紳士的なまま。だが口調には、有無を言わせぬ決断が滲んだ。

「江口嬢。今夜はお付き合いいただき感謝する。だがこの先、私と白川嬢で話したいのは――純粋に、デザインの話だ。君は先に休むといい」

――それは、退席を促す言葉だった。

江口梓月の笑みが、ぴたりと凍りつく。

けれど、江...

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