第74章 どの男が彼女に手を出すつもりだ

芳丸巡哉が個室の扉を押し開けた瞬間、目に飛び込んできたのは――あまりにも「和やか」な光景だった。

相良沢弥が白川凰姫の隣に座り、慈しむような眼差しで彼女を見つめている。向かいのイタリア人クライアントとも、笑い声が弾むほど話が弾んでいた。

「俺たちが出会ったのは十八のときでね。その頃の彼女はまだ学生で、ひとつのアイデアのために何日も徹夜するような子だった」

相良沢弥の声には、懐かしさと、胸を痛めるような優しさが滲む。

「宝飾デザインへの情熱は、俺が見てきた中でいちばん純粋な「夢」だったよ」

アレッサンドロはすっかり心を動かされた様子で、白川凰姫へ視線を向けた。

「白川さん、あなたを...

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