第77章 手を焼いている

「……行きたくない」

白川凰姫は目を伏せたまま、かすれるほど小さな声で言った。

「いま引いたらダメでしょ!」

川瀬清子は言えば言うほど熱を帯び、白川凰姫の腕を掴んでぶんぶん揺さぶる。

「行くしかないの! たとえ処刑台でも、胸張って行く! 気迫だけは絶対に負けない!」

揺さぶられて頭がくらくらする。胃の奥が、またぐらりと波立った。

赤くなった清子の顔を見ていると、ふっと可笑しくなる。

そもそもこの無茶な案を出したのは清子自身なのに、まるで自分が刑場へ付き添うみたいな顔をしているのだ。

「ほら、行くよ!」

清子は有無を言わせず、半ば抱え込むようにして外へ連れ出した。

「奥様の...

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