第78章:あなたこそがそれにふさわしい

白川凰姫は微笑みを崩さず、一人ひとりに丁寧に応じた。

「芳丸奥さん」という肩書きを被せられたままでは、自分の作品も、自分の心血も、この盛大な持ち上げの中で、取るに足らない飾りに成り下がってしまう。

――まあ、いい。

この場を利用して、お腹の子のために少しでも蓄えが増えるなら、苦労も無駄じゃない。

隣で川瀬清子が頬を赤くして興奮している。

「凰姫、見て! あれ、HS不動産の太田社長だよ! それに、あっちは『Vogue』の編集長! やばい……今回ほんとに、一気に跳ねるかも!」

白川凰姫はただ笑って、視線だけを無意識に人波へ滑らせた。

――いない。

あの人の姿が、どこにも。

胸の...

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