第79章 実質のない結婚

一連の口上は、まさに非の打ちどころがなかった。作品の価値を持ち上げつつ、新谷知代という「買う側」の格まで一緒に釣り上げる。

周囲の視線が、二人に集まる。

買うか、買わないか。

買わなければ、自分が「分からない」か「身の程知らず」だと認めるようなものだ。さっき白川凰姫が差し出した称賛の数々は、そのまま派手な平手打ちになって跳ね返ってくる。

この人たらしの集まりの前で、新谷知代はそんな恥を晒せない。

買う? さっき横の小さな値札をちらりと見た。並んだゼロの列に、心臓がきゅっと縮む。

「どうしました?」白川凰姫がわざと首をかしげる。声色は天真爛漫で、罪のない顔。「新谷嬢、お気に召しませ...

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