第93章 残酷な選択

寝室のドアが、そっと押し開けられた。

芳丸巡哉が入ってくる。昼間のままのシャツ姿。ただ、襟元だけが少し深くほどけていた。

「……ど、どうして入ってきたの?」

「見に来ただけだ。怖くて眠れないんじゃないかと思ってな」

彼はベッドの端まで来ると、あまりにも自然な仕草で掛け布団の角をめくり、そのまま身体を滑り込ませた。

マットレスの向こう側が、すとんと沈む。

白川凰姫は反射的に端へ寄り、肩まで強張らせる。

「わ、私……」

「動くな」

芳丸巡哉は背後から抱きしめ、彼女を丸ごと腕の中へ閉じ込めた。ほのかな煙草の匂いと、安心させる体温。温かな息がうなじにかかる。

「俺がいる。何が怖い...

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