第96章 命を懸けて守り抜く

白川凰姫はしゃがみ込み、キャンディを胸元へ抱き寄せた。掌に馴染む毛並みと、ほのかな体温。その確かさに、張り詰めていた神経が少しだけほどけていく。

「奥様、本日あまりお召し上がりになっておりませんね」

坂東補佐が、ほとんど手つかずの食卓に目をやり、慎重に言葉を継ぐ。

「芳丸社長が、淮揚料理の得意な料理人に替えさせました。もしお口に合わないようでしたら、別の系統も手配いたしますので」

白川凰姫は猫を抱いたまま、返事をしなかった。

分からないのだ。

芳丸巡哉は外で新谷知代を気にかけながら、一方で自分の生活の細部にまで、息が詰まるほど手を入れてくる。

断ち切られた優しさ。噛み合わない温...

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