第97章 浮気相手にする気?

白川凰姫は出窓に腰を掛け、彼を見つめていた。長い、長い時間。

やがて立ち上がると、音も立てずに寝室を出て、初めて自分から台所へ足を向ける。

夕食の支度をしていた太田おばさんが、階下へ降りてきた白川凰姫を見て目を丸くした。

「白川嬢、何かご用でしょうか」

「太田おばさん」

声は柔らかいのに、芯だけが硬い。否と言わせない種類の静けさだった。

「前に来ていた料理人の中に、薬膳が得意な栄養士さんはいない?」

太田おばさんが一瞬きょとんとする。

「いないことはないですけど……」

「呼び戻して」

白川凰姫はそこで言葉を切り、首を小さく振った。

「……いいえ。連絡先を私にください。今...

ログインして続きを読む