第98章 彼こそが最良だ

彼は手にしていたタブレットを置いた。画面には、折れ曲がるような株価のチャート。

男が白川凰姫へ手を差し出す。

「こい」

白川凰姫は動かなかった。

芳丸巡哉はその手を掴み、半ば強引にベッドの縁へ座らせる。指の腹が彼女の手の甲をゆっくり撫で、低い声が落ちた。

「いい子に家にいろ。傷が治ったら、全部きれいに片づける」

乾いた熱を帯びた掌。けれどそれが、白川凰姫の鼓動の拍を乱す。引き抜こうとした手は、逆にきつく握り込まれた。

窓の外は夜が深まり、薄暗い灯りの下で、曖昧な空気だけがじわじわと発酵していく。

思考が絡まりかけた、そのとき。

スマホが鳴った。川瀬清子だ。

白川凰姫は救わ...

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