第119章 行かせない、小野寺知世!

 窓の外は月が皓々こうこうと輝き、星はまばらだ。

 室内の照明は暖かな黄色い光を放っている。

 小野寺彩音は目の前の男をじっと見つめていた。頭がうまく回らないようでいて、それでいて妙に冴えわたっている。矛盾と明晰さの狭間にいるような感覚だった。

「どうした?」古賀硯司は眉をわずかに上げ、仕方なさそうに彼女を抱き起こす。「何か言え」

 小野寺彩音はすっくと立ち上がり、彼を見下ろした。

 何かを言いかけたその時、リビングから「ドン、ドン、ドン!」とドアを叩く音が響いた。

 小野寺彩音は夢から覚めたように我に返り、すぐさま振り返ってドアを開けに行く。

「奥様、古賀社長を病院にお連れしに...

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