第16章 小野寺知世、何を怒っているの?

「どのヒモ男だ?」小野寺彩音はすぐにはピンとこなかった。

古賀硯司は目を伏せて低く笑う。「また新しい男か? 早いな」

小野寺彩音はそれでようやく、自分がでっち上げた先輩という名の新しい恋人のことを思い出した。

ヒモ男ならヒモ男でいいか。

小野寺彩音は言った。「彼が焦ってなくても、私が焦ってるの」

呵、もう庇い始めたか。そんなに急いで正式な立場を与えたいとは!

古賀硯司は目を細め、顔色が一層険しくなる。「小野寺彩音、お前は今日こいつを好きになり、明日にはそいつを好きになる。本気で誰かを好きになったことがあるのか?」

小野寺彩音は幼い頃から様々な男の子に追いかけられてきた。中学時代は...

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